ダイアロスの歴史を知る会 非公式記録
毎週定例会を開催しています。
日時:火曜日・土曜日 23:00~24:00
場所:レクスール・ヒルズ城門南の小部屋(Master of Epic Pearlサーバー )
※興味のある方は募集CH「エルアン文明研究会」まで

ホムンクルス

[元銃弾販売員Ctanaの日記]

アルターを覆うドームは、屋根が崩れ落ちてしまっている。ぽっかり空いた穴から見えているのは、青い空と緑のまったく無い土色の山。ドームの外には生き物の気配が希薄な土と岩の世界がどこまでも続いている。
ここはネオク山。私が長いこと銃弾販売員として働いていた町だ。

壁に開いた穴を抜けて木材で補強されたトンネルを歩いて行くと銀行のある広場に出る。
広場の中央には大きな風車。ゆっくりと羽根を回している風車とつながっている建物には上部が無い。
その上部の無い建物の中にはこの国の王様が居て、この国のことについて色々と話をしてくれる。
王様が居る建物の向かい側に銀行があって、私はその銀行の前で銃弾を売っていたのだ。

販売員をやめてから、ここには1度も来たことがない。美容のための品物を置いている店もあるし芸能ギルドもあるのだけど、どちらも私には縁のないものだ。
ビスクから逃げてきたエルガディンの人々が暮らす町。生産者たちのギルドがあり、芸能ギルドと美容の店がある町。私が販売員として働いていた町。そして今の私には用のない町。
私がこのネオク山に来るのはずいぶん久しぶりだった。

 

ドラキアから攻めてきた軍勢に敗れ、ビスクの街を追われたエルガディンの人々が逃げ延びてきたこの場所は、500年前に5人の戦士が竜と友達になった場所らしい。
この5人の戦士たちは、5大英雄と呼ばれている。飛竜にまたがり空を飛び、争いの無い平和な世の中にするためにその圧倒的な強さを使ったらしい。つまり、戦ったわけだ。

圧倒的な強さでダイアロス島をまとめあげ、エルガディンの国を作った5大英雄たち。平和な世の中にするためにその圧倒的な強さを使って戦った人たち。他の勢力と戦い、打ち伏せ、取り込み、従わせ、また他の勢力と戦った人たち。
平和を願い、平和のために戦った英雄たちのおかげで、ダイアロスは平和になった。そしてエルガディンの人々は平和に暮らした。

ドラキアが攻めてくるまでは平和に暮らしていたと言うエルガディンの人たちだけど、この間行ったサスールの人たちの意見はたぶん少し違うのだろうなと思う。

サスールから見た場合のエルガディンはこうだ。

私たちが平和に暮らしていたダイアロスにやってきて抗争を続けていた豪族たちの中に飛竜を使う者たちが現れ、その圧倒的な強さで他の豪族たちをまとめあげた。そしてその5人が作ったエルガディンという国は、平和にするためだと私たちからノア・ストーンを奪い、このダイアロスを自分たちの物にした。

エルビン山脈の町に居る人たちにはこう見えているはずだ。
つまりそれは、ビスクとエルガディンとの関係にしても同じこと。
ノア・ストーンをめぐって、同じことが繰り返されているにすぎない。

 

久しぶりに見るネオク山の広場は、以前となにも変わっていなかった。
ときおり羽ばたく青い竜とそれにまたがった竜騎士たち。ビスクを憎みながら反撃のときを待つ王様とその家臣たち。誰かから奪い取った平和な暮らしを誰かに奪われたと憤る人々。自分たちが憎まれていることを棚に上げて誰かを憎んでいる人々。

私はこの町の人たちが嫌いだ。販売員をやめてから寄り付かなかったのも、ここにいる人たちが嫌いだったからなのだと思う。
長い間この町で働いていたけど、私はほとんど周りの人と話をしていない。久しぶりにここへやって来たのは、この間サスールの人たちにいろいろと話を聞いて、ネオク山でもいろいろ聞いてみようと思ったからだ。だけど、聞いて回っているうちにどんどん気が滅入ってきた。ここの人たちは、あいかわらずだ。仕方が無いのかもしれないけれど、口を開けば恨みつらみばかり。

もう切り上げて帰ろうかなと思っているとき、美容用品店で面白そうな話を聞いた。
エルビン渓谷の古代遺跡から古代モラの技術が記された古文書が発掘されたらしい。
ホムンクルスという人を創る技術の断片が記されているのだそうだ。

7月 16th, 2018 at 10:07 PM | Comments & Trackbacks (0) | Permalink


エルビンの空の下 03

[ウィッチブレードのひとりごと]

砦を通り過ぎてしばらく歩くと、エルビン渓谷についた。
視界が一気に開け、目の前に緑が広がる。
狭く岩だらけの山道を通ってきただけに、思わずほっとしてしまう。
私は両手を広げ、胸いっぱいに空気を吸い込んだ。
青い草の匂いとともに、香ばしい匂いがただよってくる。
牛の糞の匂いだ。
気分は台無しだけど、こればっかりは仕方がない。
エルビン渓谷には人の数の10倍の牛がいるといわれているんだから。
さあ、スケッチする場所を探そう。
私は気を取り直して、村への道を外れ草原の丘を登り始めた。

牛の落し物を踏んでしまうと切なくなってしまうから、足元には注意して登る。
やがて丘の上に出ると、そこにはテントが張ってあった。
ダーイン山で見たテントよりだいぶ大きい。
50人くらいは楽に寝泊りできそうだ。
テントの入り口には焚き火があり、そのそばに鎧を着た男の人がひとり立っている。
この人はこんな所で何をしているんだろう?
牛でも焼いているのかな?

私は男の人にこんにちはと声をかけて、テントの裏に回った。
ここからならあたり一面が良く見える。
村の方向を眺めると、遠くに大きな滝が見えた。
あの滝を書いてみよう。
私はよく確認してから草の上に腰を下ろした。
バッグを肩から下ろし中から絵の道具を取り出すと、スケッチブックを広げる。

滝や周りの山の形を鉛筆でざっと書いていく。
ふと視線を下ろすと、丘の下のほうに牛が一頭いることに気がついた。
牛は頭を下げゆっくりと口を動かし、足元の草を食べている。
こちらを気にする様子もなく夢中で、でもゆっくりと草を食べている。
やがて牛は頭を上げると、草の味を確かめるようにもぐもぐと口を動かしている。
私は少しの間その様子をじっと見ていた。

そういえば-
ここよりもっと山の上のほうにすむ牛たちは、草ではなく山芋を食べていると聞いたことがある。
山芋を食べている牛は、どんな味がするのだろう?
やっぱり草を食べている牛とは違う味がするのだろうか?
私が知らないだけで、そんなことは常識なのかもしれない。
今夜泊まる宿の人に聞いてみよう。
どこかに食べ比べとかできるお店があるかもしれない。

そんなことを考えていると、お腹がすいてきてしまった。
ちょっと早いけど、もうお昼ご飯にしてしまおうか?
結局私は我慢できずにバッグから紙袋を取り出した。
牛と一緒にお昼を食べることにしよう。
私は紙袋の中からタマゴサンドを取り出し、それをほおばった。

つづく

7月 16th, 2018 at 8:35 PM | Comments & Trackbacks (0) | Permalink


Page062 信じる神:ダイアロスに住んでいる人達

[カザヒシのメモ帳]

ムトゥーム地下墓地においての聞き込みはおおよそ終わった。
邪教徒と忌み嫌われる彼らも、彼らなりの道を歩んでいるようだ。
マブ教徒になりたいかと言われたら遠慮させてもらうが、
その独特の考え方は、人が心のどこかに持っている欲望なのかもしれない。

邪教徒、悪の巣窟……実際そうなのかもしれないが、私には彼らがそこまで悪い人には見えなかった。
言ってることがおかしいのは事実だが、排他的でもなく、口数が多く、真っ直ぐだ。
彼らは彼らで選んだ道をしっかりと進んでいる。
嫌われること、煙たがられること、避けられること。
マブ教徒になると決めたその時、彼らはそういう覚悟をしたのだろう。
そしてマブ教徒としてイーゴ様の為に戦うという決意も。
彼らの生き方を肯定する訳じゃないし、否定するつもりもない。

これでひとまず、ビスク、エルガディン、マブの三勢力での聞き込みは一通り終わった。
他に聞き込みができそうな相手を考えてみると、安全な場所である程度の集団生活をしている人達。
つまり、ヌブールの村にいるモラ族、エルビン渓谷に村を作っているオーガ、
エルビン山脈の高地で修業に励むサスールの住人達あたりがだろうか?

正直言って、彼らはその集落以外でその姿を見かけることはとても少ない。
オーガの人達はビスクやエルガディンで時折姿を見かけるが、
モラ族やサスールの住人、特にビーストブラッドと呼ばれる人たちを、普段見掛けることはない。

おかげでほとんど話したこともなく、彼らがどういう価値観を持っているのかすらも私はよく知らない。
今まであまり話したことのなかった人達の話を聞くと、新しい発見がある。
それは、マブ教徒達に話を聞いたことでよくわかった。
宗教的な価値観という本題からは少し外れてしまうかもしれないが、
古くからダイアロスに住んでいる人達がどんな価値観を持っているのか、知っておいて損はないだろう。

まずはダイアロス最古の種族、モラ族だろうか。
私がこの島で暮らせているのも、彼らの助けがあったからこそだ。
そしてこの島、この世界全体にすら影響を与えている「ノア・ストーン」。
あの石を作り、かつては制御していたのもモラ族だったはず。

読み返してみれば、先生の授業の時のメモがあった。

 モラ族とは:
 古代より、ダイアロス島に住んでいる。
 遥か昔には高度な文明を誇ったが、謎の災厄により全ての技術を消失。
 そこから衰退の一途を辿り、今や島の辺境で細々と暮らしている。
 元々は他種族を寄せつけなかったが、新しい人たちの手で未来を変えて欲しいとの願いから、
 流れ着いた旅人を助けている。

彼らは一体どんな考えを持っているのだろうか。
未だに走って辿り着く道を知らないので、
モラ族が監視しているアルターを使って、まずは隠れ里、ネヤに行ってみる。

 

7月 15th, 2018 at 4:20 PM | Comments & Trackbacks (0) | Permalink


エルビンの空の下 02

[ウィッチブレードのひとりごと]

どうしてダーイン山のオークたちは焚き火のまわりに集まっているのだろう?

焚き火で温まってるのかな?
確かにダーイン山はイルヴァーナ渓谷より標高が高そうだから、そのぶん寒いのかもしれない。
でも、標高が高いといってもミーリム海岸とそんなに変わらないんだから、焚き火で温まらないといけないほど寒いとは思えない。
それにオークは毛が生えてるんだから、そんなに寒がりとも思えないし。
この考えはたぶん違うかな?

ほかには-
動物除けとかかな?
火を怖がる野生動物を寄せ付けないように火をたいている?
ダーイン山の近くにいる動物といえば・・・。
犬かな?蜘蛛かな?ライオンかな?
でも、この辺にいる動物は強い相手は襲わない。
オークのほうが強いから、オークは襲われないはずなんだよね。
この考えも違うのかな?

あとはー
焚き火で料理をしているとか?
そういえば今まで気にしたことがなかったけど、オークって何を食べているんだろう?
草食性だよね?違うかな?
確かダーイン山のテントの近くには、お芋の畑があったような気がする。
オークはお芋を食べて暮らしてるんだろうか?
もしそうだとすれば、焚き火でやっていることは・・・。
そう。
焼き芋だ!

焚き火に集まって焼き芋をしているオークたちを想像してみる。
畑から掘り出したお芋を水で洗い、アルミホイルで包むオークたち。
それを焚き火に放り込む者たちもいる。
作業の指示を出しているのは青いオークだ。
子供たちも作業を手伝っている。
お芋を全て焚き火に投げ入れると、オークたちは焚き火のそばで膝を抱え、お芋が焼けるのを待っている。
あわて者が手を伸ばしてお芋を取り出そうとする。
まだ焼けてないと声が飛ぶ。
やがて焚き火の中からお芋が取り出される。
焼けたお芋をハフハフいいながら、口いっぱいにほおばるオークたち。
大人たちも子供たちもみんな嬉しそうだ。

その様子を想像して、思わずニヤニヤしてしまう。
私の中ではこれが正解でいい。
そう思える。

ふと我に返って周りを見回す。
ここはどこだろう?
後ろを振り返ると砦が見えた。
いつの間にか砦を通り過ぎていたらしい。
砦のガードの人たちがこちらをじろじろ見ているような気がする。
ニヤニヤしているのを見られただろうか?
私はあわてて先を急いだ。

つづく

7月 14th, 2018 at 12:32 PM | Comments & Trackbacks (0) | Permalink


エルビンの空の下 01

[ウィッチブレードのひとりごと]

ミーリム門を出て海沿いに進み灯台の近くまで来ると、ようやく朝もやが晴れてきた。
はるか遠く北にエルビンの山々を眺めることができる。
よかった。天気は良さそうだ。
今日はエルビン山麓の村まで出かけるつもりなのだ。
天気が悪いと気分がめいってしまう。
私は一息ついてからスケッチブックを抱えなおすと、海沿いの道から離れ、山への道を歩き始めた。

ビスクからエルビン村へは、歩いて片道4時間半くらいかかる。
日帰りするには少し遠い距離だから、今日は村に泊まるつもりだった。
別に急ぐ必要はない。
夕方までに村に着けばいいんだ。
途中で素敵な景色を見つけたら、スケッチしながらいこう。
そのつもりで絵の道具も持ってきている。
普段は荷物になるから持ち歩いたりしないけど、今日は特別だ。

下手だけど、私は絵を描くのが好きだ。
ひまな時間を見つけては、ちょこちょこ絵を描いたりしている。
恥ずかしいから、まだ誰にも見せたことはないけど。
私のように絵を描くのを趣味にしている人は、ダイアロスでは珍しい。
いや。
私が知らないだけで、ひょっとしたら絵を描くのが趣味の人はたくさんいるのかもしれない。
道具屋さんに絵を書く道具が売っているのだから、誰かそれを買ってる人がいるのは間違いないはずなんだ。
どのくらい売れているのか、今度お店の人に聞いてみようかな?

そんなことを考えながら歩いていると、焚き火とテントが見えてきた。
昼間はオークたちがたくさんいる場所だ。
朝早いせいか、まだオークたちの姿は見えない。
テントの中で眠ってるのだろうか?
わざわざ起こしてあげる必要もない。
私は足を速めキャンプの脇を通り過ぎた。

そういえば-
このキャンプに限らず、ダーイン山のオークたちは焚き火のそばに集まっていることが多い気がする。
私は、昔ダーイン山に行ったときのことを思い出そうとした。
オークジャイアントや青いオークたち。
確かに彼らは焚き火のそばに集まっていたような気がする。
これはオーク全体の習性なのだろうか?
イルヴァーナ渓谷のオークたちはどうだろう?
私は歩きながら考えた。
はっきりとは思い出せないけど、たぶん焚き火はなかったんじゃないかな?

もしそうだとすれば、ダーイン山のオークだけ焚き火が好きだってことになる。
どうしてだろう?

つづく

7月 13th, 2018 at 8:13 PM | Comments & Trackbacks (0) | Permalink


悪しき心

[元銃弾販売員Ctanaの日記]

冷たい風が吹いている。涼しいと表現するには冷たすぎる風だ。
ここはサスールの国。エルビン渓谷の北にそびえる険しい山をひたすら登って行くとたどり着く小さな国だ。ビースト・ブラッド族と呼ばれる獣人と、僧侶と忍者と牛たちが暮らしている。

町の中央にあるアルターを降りて見おろすと、はるか下を雲が流れていく。
町に並んでいるのは、独特な造りの建物だ。鮮やかな朱色に塗られた柱と梁、土と石で作られた灰色の壁、瓦葺きの屋根には角とも牙ともつかない尖った飾りがつけられている。ダイアロスでもここにしか見られない建築様式で、サスールの歴史の古さを感じさせる。

私は、いくつかある銀行のひとつに立ち寄ったあと待ち合わせ場所の高台へ向かった。

 

長い石段を上ると、六角形の建物が見えてくる。賢者さんは、建物の前にある石垣に腰かけて待っていた。

「無理言ってごめんなさいね。来てくれて助かったわ」
そう言いながら立ち上がると、真っ白なマントについた土ぼこりを軽く払う。

「話を聞きに来たんだけど、取り合ってもらえないのよ」
賢者さんはそう言って振り向くと、後ろにある建物を困り顔で見つめた。

この町の人たちは他国から来た人には冷たい。銀行員すらろくに話をしてくれない。
閉鎖的とか排他的とか言ってしまえばそれまでだけど、ここの人たちにしてみればそれもしかたがない話だ。外から来た人たちは、サスールから見ればみんな侵略者なのだから。

私は、エルビンの近くでいつも狩りをしているから、ここへは何度も来たことがある。いろいろと話をしたり手伝ってあげたりしているうちに仲良くなって、今ではどこへ行っても歓迎してもらえる。それを知っている賢者さんから、あなたとなら話をしてくれるかもしれないからと呼び出されたのだ。
とにかく話をしてみましょうと言ってから、私は賢者さんの前に立って歩き始めた。

 

建物の中に居るのは、摂政のフェイさんという人。いかめしい姿をした隻眼の巨漢だ。
着物姿に肩当て、腰には身の丈ほどもある長い刀を差している。姿を見たことはあるけど、この人に話しかけるのは初めてだった。

普段から召喚した魔物たちを間近で見ている私は、相手の姿を見て怖がるということはない。だけど、このフェイさんのオレンジ色の目でじっと見られると、怖いというのとは別の居心地の悪さを感じる。こちらの思惑を見透かされているような、わかっているぞと言われているような、そんな居心地の悪さだ。
しかしまあ、他ならぬ賢者さんの頼みだし、ずうずうしさは私の唯一の取柄でもある。私は意を決してフェイさんに近づき、話しかけた。

フェイさんが語ってくれたのは、だいたい次のようなことである。

かつてサスールは、古代モラ族に代わってノア・ストーンを管理していた。
エルガディンにノア・ストーンを奪われたあと長らく抗争を続けていたが、今は表立った行動はしていない。
サスールの指導者である高僧ポアドは預言者でもあり、ノア・ストーンについての暗い未来を予言している。
その予言通りにならないよう、ノア・ストーンを取り戻すためにいつか行動を起こさなければならない。
ノア・ストーンは人の手にあってはならない。封じなければならない。

なんですって? 
話を聞きながら、私はこの巨漢が言ったことに驚いた。

ノア・ストーンを“管理していた”ですって?
この人は、今、確かにそう言った。かつてはサスールが管理していたと。
つまり、サスールの人たちは、ノア・ストーンの制御のしかたを知っていたということになる。制御のしかたも知らないで管理などできないだろうからだ。

ここの人たちはノア・ストーンの扱い方を知っている。そして、封じると言っているからには、封じ方も知っているということだ。

サスールからノア・ストーンを奪ったエルガディンはどうなのだろう。
やはりノア・ストーンの管理のしかたを知っていたのだろうか。

 

「話はしてもらえた?」
外で待っていた賢者さんのところへ戻ると、考え込んでいる私に賢者さんが訊く。
私は、フェイさんから聞いたことを賢者さんに話した。

「12日間戦争のことは聞いているわ。攻めてきたドラキアに、エルガディンはノア・ストーンの力を使って魔法攻撃を仕掛けたらしいわね。つまり、エルガディンはノア・ストーンの使い方を知ってたということよ」
私の話を聞き終わると、賢者さんはそう言う。

サスール、そしてサスールからノア・ストーンを奪ったエルガディン。彼らはノア・ストーンの制御のしかたを知っている。
では、エルガディンからノア・ストーンを奪ったビスクは?

私は、ビスクがノア・ストーンの制御のしかたを知らないからそれを研究しているのだと思っていた。ノア・ストーンの制御のしかたは、研究しないとわからないのだと。
だけど、それを知っている人たちが居た。知っている人が居るのなら、その人たちから聞き出せば良い。わざわざ時間と手間をかけて研究するよりも、そのほうがずっと簡単なはずだ。
おそらく普通はそうするだろう。でも、ビスクはそうしていない。時間をかけて研究を続けている。

なぜなんだろう。
ビスクが研究しているのは、サスールもエルガディンも知らないことなのだろうか。
サスールやエルガディンの人たちが知らない使い方。いままでの管理者がしていなかった使い方。それをしようとしているのだろうか。

いったいイルミナは、ノア・ストーンを使って何をしようとしているんだろう。

フェイさんは、最後にこう言っていた。
「このままでは、ノア・ストーンは悪しき心に使われ、破壊を生み出すだろう」
破壊を生み出す悪しき心とは、どの心のことなんだろう。

7月 10th, 2018 at 4:21 PM | Comments & Trackbacks (0) | Permalink


Page061 信じる神:『力こそ、真理なり。』

[カザヒシのメモ帳]

「我らが求めるのは 純粋なる支配 !

 偽善に満ち溢れた、この世を打ち砕き
 破壊神の元、我らの力を示すのだ…

 強き者が、美しき世界!
 強き者が、正しき世界!

 作られた笑顔に、作られた政(まつりごと)。
 この全てを壊して、新しい世の中を作りあげるのだ!」

マブ教の司祭である男性は、マブ教について興味があると言ったら、
いかにも宗教団体の人間という様子で、とても熱く語ってくれた。
彼らの教義に正義はなく、自分達が悪であることを認める。
信者の女性の言葉を借りるなら、「心の闇を開放するのです!」というやつなのだろう。

「強い者が支配者となり、弱い者は滅ぶのみ。
 弱き存在は、消えゆくもの。
 …ただ、それだけの理(ことわり)。」

司祭はこうも言った。これも、地下墓地では良く耳にすることだ。
強い者が支配し、弱い者は滅ぶ。少々残酷で荒っぽい教えではあるだろう。
しかしそれはある意味で真理ではないかとも思う。
力を持つ者が上に立つ。それは至極当然のことではないだろうか?
人の上に立つ者は、当然人の上に立てるだけの力は持っているはずだ。

私は決して、自分が強いとは思わない。武力もないし、魔法に秀でている訳でもない。
けれど、私には私なりの生き延び方がある。
気配を消し、並みの人なら追い付けないほどの速さでどこまでも走り続ける。
頭を使って、やり過ごす方法を考える。
相手を観察し、調べ、見極めることで、勝機や逃げ道を見つける。
直接的な武力や魔力はなくとも、それは私の強さと言える部分だろう。

弱い者が滅ぶ。動物たちがそうであるように、それは自然の摂理なのだ。
弱いまま死ぬということは、強くなろうとする努力が足りなかったのかもしれない。
もちろん、努力して敵わないこともあるだろう。
それはきっと、相手の方がより強くなろうとしたからだ。

マブ教徒でさえ、子供は保護し、マブ教に染めながらも生きる力を与えている。
強き者が支配者となり、弱きものが滅ぶ。
強くなれば望むものを手に入れられる、そして滅ぼされる側にならぬように強くなれ。
つまりそういうことではないだろうか。

「我は自分の力を信じ イーゴ様 の力を信じる。

 儚く消えゆく泡のような…現人(うつしびと)の戯言に
 溺れて死ぬ人生なぞ、滑稽ではないか。

 正義とは、全て虚言だ。

 マブ教の教えこそ、力こそ、真理なり。
 我はそう信じ生き、そして死にゆくだろう。」

親の顔を知らないというマブ教に拾われたガードの男性は語った。
逃げるだけならまだしも、私の力で今の彼にはとても歯が立たないだろう。

彼は強くなったが、支配者になったわけではない。力を持った彼は、己の道を見つけたのだ。
力こそ、真理。彼はもう、そう簡単に滅ぼされる側に回ることはないだろう。

 

7月 8th, 2018 at 6:37 PM | Comments & Trackbacks (0) | Permalink


良いコグニートと悪いコグニート 08(完)

[ウィッチブレードのひとりごと]

セレナイアさんの発表はまだ続いている。
でも、その内容よりも発表者のことが私は気になっていた。
この人はどういう人なんだろう?
私は改めて彼女の姿を見直した。

肩で切りそろえた銀髪は、長すぎず短すぎず。
意志の強そうな目をしているけど、決して険しそうな感じはしない。
その表情は、ほかのどのコグニートとも違って見える。
紺色の作業着っぽい上下は、飾り気はないが清潔そうだ。
何かの職人さんなのだろうか?
腰に作業鞄のようなものを下げている。
その格好は、発表会にふさわしい格好とはいえないかもしれない。
でも、私にはそれが逆に好ましく思えた。
この人なら信頼できるんじゃないだろうか?

やがて彼女の発表が終わり、会長が質問を求めると、たくさんの人が手を挙げた。
私も質問したかったけど、人が多いのでやめておいた。
たくさんの人たちが様々な質問をし、彼女は一つ一つしっかりと答えていく。
彼女の姿は自信に満ちていて、とても頼もしく思える。

その様子を見ているうち、私はこの人と友達になりたいと思った。
この人に私の話を聞いてもらいたい。
この人なら笑ったりせず、私の話を真剣に聞いてくれるだろう。

アルケィナのとてつもない野望を。
アルケィナの手先である黒い魔法使いのたくらみを。

そして彼女なら、私と一緒に黒い魔法使いと戦ってくれるに違いない。

おしまい

7月 6th, 2018 at 8:45 PM | Comments & Trackbacks (0) | Permalink


良いコグニートと悪いコグニート 07

[ウィッチブレードのひとりごと]

会長にセレナイアさんと呼ばれたコグニートは、会場の前のほうにゆっくりと歩いていく。
私は彼女の背中をにらみつけた。
一体何を話すつもりなのだろう?
発表会の案内には、ビスク港の塔についての話だと書いてあった。
ビスク港には塔なんて無いのに・・・。
何を話すかわかったもんじゃない。
悪いコグニートにだまされないよう気をつけなくちゃいけない。
私は気を引きしめた。

発表が始まると、案の定彼女はおかしなことを言い始めた。
ビスク港にある灯台と呼ばれている建物は、実は灯台ではないのだという。
それを聞いて私は思わずふきだしそうになった。
あの建物が灯台であることは、広場で遊んでいる子供たちだって知っている。
建物の中で窯を炊き、その光であたりを照らしているんだ。
こんな話では子供だってだませやしないのに。
いったい彼女の目的は何だろう?

私がそう考えていると、彼女はミーリム海岸の灯台との比較を始めた。
立地の違いや、建物の構造の違いなどを一通り説明した後、彼女は2枚の写真を黒板に貼り出した。
海岸の灯台と港の灯台を夜中に撮影したものだという。
ミーリム海岸の灯台は光を放っているのに、ビスク港の灯台は光を放っていない。
一番後ろの席からでも、それがはっきりと見える。
会場がざわつき始めた。
そんな会場の雰囲気を確かめるように、彼女はあたりをゆっくりと見回した。
そして、会場全体によく聞こえるようなはっきりとした声で、ビスク港の灯台は灯台の役目をはたしていません、と言った。

あれ?
これはいったいどういうことだろう?
私は混乱していた。
ビスク港の灯台が光を放っていないというのは本当だろうか?
それとも嘘なのだろうか?
そんな私の心を見透かしたように、彼女は私のほうに目を向けた。
そして私と目が合うと、にっこりと微笑みかけてきた。
私はその笑顔に見とれてしまった。
こんなに笑顔が素敵なコグニートには、今まで会ったことがない。
心の醜い人が、こんな素敵な笑顔をしているはずがない。

その瞬間、私にはわかった。
この人は普通のコグニートとは違う。
この人は悪いコグニートじゃない。
良いコグニートだ。

つづく

7月 5th, 2018 at 10:12 PM | Comments & Trackbacks (0) | Permalink


長さを測る(後編)

[エルアン文明研究会]

私たちは普段の生活の中で、長さを測るときはどうするでしょう?

製図のために、ものさしで紙に書いた線の長さを測ったり
服を買いに行って店員さんにメジャーでウェスト周りを測ってもらったりしますよね。

[長さを測る(中編)] で紹介したように階段から飛び降りたり
GPSで自分のいる緯度や経度を測って長さを求める人はいないでしょう。

ダイアロス島でも、ものさしやメジャーを使って長さを測ることはできないでしょうか。

まずは、ゲームの画面に表示されているものに
ものさしをあてて測ってみますが、この方法には2つの問題があります。

1つ目は、ズームイン、ズームアウトやキャラクターが手前や奥に移動することで
表示されるものの大きさが変わってしまうこと。

2つ目は、現実世界の1mは、ダイアロス島の1mでないこと。

当然、ものの大きさが変わらなくとも、近くのものは大きく、遠くのものは小さく見えます。
筆者は普段、カメラモード「M1」の視点でゲームをプレイしています。

このモードでは、自分のキャラクターが画面の中央に表示され
キャラクターに対して視点を近づけたり遠ざけたりすることができます。

当然、キャラクターの大きさも距離によって変わってしまいます。
ここにものさしをあてて測っても、ある時は10cm、あるときは20cmのようになってしまいます。

つまり、ダイアロス島でものさしを使うには、たとえば1mの長さが
視点からどれくらい離れたときに
どれくらいの大きさで表示されるのか、を知る必要があります。

早速、調べてみました。

まず、カメラモード「M1」(または「M2」)では
最大ズームイン、つまり自分のキャラクターに視点を最も近づけた際
カメラとキャラクターとの距離は2.5mで、
最大ズームアウト、逆に遠ざけた時の距離は22.5mでした。

つまり、カメラは2.5m~22.5mの20mを行き来することができます。

また、画面上に表示されるものの大きさについて、画素数
ピクセル(pixcel、これ以降pxと省略します)という単位を利用すると
視点からの距離と、ゲーム内の1mのものが表示される大きさの関係は
以下の図のようになります。

これは他のカメラモードの場合でも
視点から対象物までの距離に読み替えれば同じ結果になります。

この結果から、ゲーム内の長さを計算する式が出来上がります。

ゲーム内の長さ[m] = (視点からの距離[m] × 表示サイズ[px])÷ 900

この式は視点からの距離が2.5より近くても、22.5mより遠くても使えます。

さて、これでいよいよ当初の目的である、ゲーム内で使えるものさしを作ることができます。
それが、この [エル研ものさし] スキンです。

MoEには、ゲーム内に表示されるアイコンやウィンドウのデザインなどを変えられる
スキン機能というものがあります。
スキンの詳しい使い方については、[公式サイト]を参考にしてください。

システムの表示オプションで
エル研ものさしスキン「aerial_society_scale」を有効にすると
ショートカットバーがこのように変化します。
※ゲーム画面の解像度が横1280pxに満たない場合、このスキンは利用できません
※スキン作成の都合上、目盛が途中で途切れているので
2番目のアイコンの上下が目盛の開始点になります

左側と上側の黒い目盛は、視点から2.5m離れたものの
長さを測るためのもので1目盛がゲーム内1cmです。

カメラモード「M1」(または「M2」)であれば、最大ズームインのときに
自分のキャラクターと並んだものを測るのに丁度よくなります。

たとえば、この本の長さは35cmになります。

一方、右側と下側の赤い目盛は、視点から22.5m離れたものの
長さを測り、1目盛がゲーム内10cmです。

カメラモード「M1」(または「M2」)であれば、最大ズームアウトのときに
自分のキャラクターと並んだものを測るのに丁度よくなります。

たとえば、この本棚の長さは850cmになります。
※中編で座標を利用して測った結果と一致します

ショートカットバーは2つ表示することができるので、このように連結して測ることもできます。

残念ながら、ショートカットバーの縦表示には対応していないので
高さを測るのは得意でありません。

少し面倒になってしまいますが、以下の図のように
長さの変わらないTechnicウィンドのアイコンなどを利用して

本棚の高さ = ①アイコンの高さ(80cm)×9個 + ②端数30cm = 750cm

のように工夫すれば測ることができます。

なお、このスキンは公式の「スキンサンプル01」を
長さを測るためだけに改変して作成しています。
カラー設定等も公式のままなので、戦闘や生産は想定していません。
「エル研ものさし」スキンの利用・改変は自由ですが、長さを測る場合以外は
「Default」スキンなどに戻すことをお勧めします。

以上、「長さを測る」テーマの最終回となりますが
ダイアロス島の様々な長さを測った結果や、何か面白い発見があれば誰でも是非教えてください。
エルアン文明研究会の定例会でお待ちしています。

7月 5th, 2018 at 7:03 PM | Comments & Trackbacks (0) | Permalink